マクロな系に駆動力を加えた場合、一般には最大静摩擦力以下では静止していると考えられているが、前駆滑りが起こる。速度依存性が非単調な動摩擦力を持つ粘弾性体に外力を加えた場合の前駆滑り、および定常滑りの様子を数値計算、解析計算により明らかにした。 円筒に巻き付くベルトの摩擦はオイラーによって考察され、今日その理論は多くの場所で使われている。しかしその理論ではベルトの伸縮は無視し、またベルトが円筒上を滑り出す直前はベルトと円筒の接している各点で摩擦応力は最大静摩擦応力に等しいという仮定を用いている。そのような仮定を超えた研究は国内外においても少なく、特に後者は仮定であるということすら認識されることはない。マクロスケールの前駆滑りの研究を通じてベルトも前駆滑りを起こすはずであり、それは系全体の摩擦の振る舞いに大きな影響を与えると考えるに至った。数値計算を行っており予想通りの結果を得た。
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