研究課題
基盤研究(C)
熱的にゆらぐ微小系は、コロイド粒子を光学的にトラップした実験や、量子ドットを介した電子系など、様々な物理系に現れる。本研究者はこれらの現実的な系を意識して、熱機関として諸々の物理現象をとらえ、自然界が課す熱力学的な制限を研究した。一般的に時間の要素がない熱力学に、時間の要素を加えたという点が研究の大きな枠組みであり、熱力学的スピード限界の一般論、熱緩和現象における情報論的な制約、熱機関における幾何学量の導入などが主な成果である。
非平衡統計物理学
本研究では、広い意味で熱の流れが存在する際の物理現象が示す一般的な性質を研究するものです。自然界に明確に存在する、できることとできないことの区別をより明確に定量的に行うことにより、熱、量子、情報などのキーワードがより強く結びついていることが本研究により明確になったことの意義は大きいと言える。研究全体として熱機関を意識していることから、発電などエネルギー問題を通して、社会との接点は広い意味で存在する。