研究課題/領域番号 |
17K05597
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
森下 亨 電気通信大学, 量子科学研究センター, 教授 (20313405)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アト秒 |
研究実績の概要 |
1)直線型分子について、分子軸と偏光が平行な場合に対して、強レーザー照射によるイオン化運動量分布を計算するコードを開発した。 2)楕円偏光パルスに対する再衝突過程の分析に必要な放出電子の古典軌道について調べた。 3)初期状態の波動関数に節を持つ場合に生じる再衝突過程について断熱理論を発展させた。これまで平面波に対するものを一般化して節をもった電子波束に対する「分離公式」の理論的導出を行った。直接数値計算結果と比較し、分離公式の妥当性を吟味した。 4)関連する高強度レーザ場中の原子分子ダイナミクスの理論的研究を行った。 以上により、高強度レーザ場中の物質について、アト秒領域の超高速ダイナミクスに関する新しい知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
楕円偏光パルスに対する再衝突過程の分析に必要な放出電子の古典軌道について調べた。とくにイメージングにおいて重要となる、レーザーサイクル内の2つの時刻で放出される電子が運動量空間上に集まる焦線を求め、量子力学的な計算と比較を試みた。 また、直線型分子について、分子軸が偏光が平行な場合に対して、強レーザー照射によるイオン化運動量分布を計算するコードを開発した。そして、基礎的な2原子分子について、典型的な強レーザー場中の分子ダイナミクスの分析を行った。 さらに、初期状態の波動関数に節を持つ場合に生じる再衝突過程について断熱理論を発展させ、直接数値計算結果と比較し、分離公式の妥当性を吟味した。 その他、関連する高強度レーザー場中の原子・分子ダイナミクスに関する研究を行った。 以上により、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1)分子の直接数値計算コードを拡張し、分子軸に対して一般的な偏光軸の場合に対応させる。 2)断熱理論に基づいて楕円偏光パルスに対する焦線近傍の光電子分布について調べる。 3)様々な再衝突波束に対して再衝突過程の分析を行い、標的原子・分子の情報の抽出を試みる。強レーザーによる分子ダイナミクスに関する深い知見の獲得を目指す。
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