氷表面は大気中のガスの化学反応場として注目される一方で、融点付近の氷表面は疑似液体層(QLL)で覆われることでも知られている。本研究では、高分解能光学顕微鏡によって酸性ガス(HNO3とHCl)が氷表面やQLLに及ぼす影響を直接観察した。 その結果、酸性ガスの存在下での疑似液体層は純粋な水ではなく酸性溶液であることがわかった。また、HNO3-QLLは氷-液滴界面から氷が均一に成長したのに対し、HCl-QLLは氷-液滴-気相界面から氷が成長してQLL表面を覆い、最終的には氷内部に埋没した。埋没が起こると多量の酸性成分が速やかに氷内部へと取り込まれるため重要なプロセスであることがわかった。
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