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2019 年度 実施状況報告書

タンパク質による生体膜の形態制御

研究課題

研究課題/領域番号 17K05607
研究機関東京大学

研究代表者

野口 博司  東京大学, 物性研究所, 准教授 (00514564)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード生物物理 / ソフトマター / シミュレーション
研究実績の概要

最近、BARスーパーファミリータンパク質をはじめ、局所的に曲げるタンパク質が見つかっている。本研究では多数の膜タンパク質分子の協同的な振る舞いに注目して、膜の形状がどのように制御されているかを、主に数値シミュレーションを用いて探求する。
2019年度はタンパク質の吸着による生体膜の基板からの剥離とその後のベシクル形成について研究した。タンパク質annexinsの吸着により、脂質膜が基板から剥離することが最近実験で報告されている。annexinsの種類によってロール状や球状の構造を形成する。タンパク質の吸着によって膜に自発曲率が生じると考え、その効果をメッシュレス膜模型を用いた粗視化シミュレーションによって調べた。その結果、ロール状の構造は等方的な自発曲率の膜では不安定し、ベシクルが形成されることがわかった。このベシクル形成は実験で見られる球状構造とよい一致を示している。ロール状構造形成は異方的な自発曲率によることが示唆される。また、実験で見られている凹状の基板状の膜構造は、汚れなどによって膜の一部がピン付けされていることを考慮すれば、再現できることを示した。
基板がない場合における等方的な自発曲率をもつ膜の形態を理論とシミュレーションを用いて調べた。理論的にカップ状膜からベシクルへの形態転移点の膜面責が自発曲率によって小さくなることや、カップ状膜の形状からガウス弾性率が求まることなどを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理由
計画通り、膜の剥離についての研究を遂行した。他の研究についても順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

2020年度は、タンパク質の吸着とともに脱離も起こる場合の膜のダイナミクスを中心に研究を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

3月の物理学会が現地開催中止になったため残額が生じた。
次年度の成果発表のために用いる計画である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Shape transition from elliptical to cylindrical membrane tubes induced by chiral crescent-shaped protein rods2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Noguchi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 9 ページ: 11721

    • DOI

      10.1038/s41598-019-48102-7

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Cup-to-vesicle transition of a fluid membrane with spontaneous curvature2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Noguchi
    • 雑誌名

      The Journal of Chemical Physics

      巻: 151 ページ: 094903~094903

    • DOI

      10.1063/1.5113646

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Detachment of a fluid membrane from a substrate and vesiculation2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Noguchi
    • 雑誌名

      Soft Matter

      巻: 15 ページ: 8741~8748

    • DOI

      10.1039/c9sm01622h

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 脂質膜へのタンパク質吸着によるマイクロドメイン形成2020

    • 著者名/発表者名
      野口博司
    • 学会等名
      日本物理学会第75回年次大会
  • [学会発表] ナビエ・ストークス方程式の離散化時の角運動量保存の喪失について2019

    • 著者名/発表者名
      野口博司
    • 学会等名
      日本物理学会2019年秋季大会
  • [学会発表] Membrane detachment from substrate induced by protein adhesion2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Noguchi
    • 学会等名
      日本生物物理学会第57回年会
  • [学会発表] 基板からの脂質膜の剥離2019

    • 著者名/発表者名
      野口博司
    • 学会等名
      つくばソフトマター研究会2019
  • [備考] 野口研究室HP

    • URL

      https://noguchi.issp.u-tokyo.ac.jp/

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公開日: 2021-01-27  

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