イオン間の相互作用である静電相互作用は長距離相互作用であるため、取り扱いが難しい。そのため、いくつかの単純化を行うことが多い。しかし、その単純化の過程でイオンの大きさ、イオンの構造、電離などといった重要な要素が削ぎ落される場合がある。このような複雑な要素が脂質膜の秩序形成において重要な役割を果たし、特に多価のイオンの場合にはこれらの効果が顕在化しやすいことを明らかにした。本研究課題により細胞膜での静電相互作用を伴う秩序形成についての知見が得られただけでなく、静電相互作用による脂質膜の構造制御にも利用することができ、将来的には医学・工学的応用へと繋がる可能性がある。
|