研究成果の概要に記した項目(1)については今回の研究期間内に試料表面における電子密度関数の相関の温度変化についてのデータを得ることが出来たわけであるが、これは長年にわたり議論されてきたガラス転移の本質を理解するための一助となるものと期待される。(2)については分子間相互作用などが異なるタイプの高分子に調査対象を広げて緩和測定を行うことで、ガラスに対する、特に薄膜ガラスに対する我々の見解を部分的に改めざるを得ないと考えさせられるレベルの知見を得た。(3)についてはガラス化した薄膜の結晶化技術に大きな進展が見られ、長年未解明であったソフトマター結晶の構造解析に成功したということを記しておきたい。
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