陰イオンに磁性原子を含む「磁性イオン液体」は、室温で液体状態をとり、冷却速度を調整することにより、結晶とガラスの2種類の状態をつくることができる。結晶状態では、反強磁性秩序、ガラス状態ではスピングラスが発現する。中性子非弾性散乱により、反強磁性秩序状態ではスピン波、スピングラス状態では局所的な低エネルギー磁気励起を観測した。この局所的な磁気励起は、スピングラス転移温度以下でボーズ因子でスケールされ、構造ガラスで見られる低エネルギー振動励起(ボゾンピーク)と共通点が多い。この磁気ボゾンピークとも言うべき磁気励起は、スピン配置やサイズの異なるスピンクラスターの素励起と考えられる。
|