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2017 年度 実施状況報告書

日本海の測地学的、海洋物理学的、および地震学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K05621
研究機関北海道大学

研究代表者

日置 幸介  北海道大学, 理学研究院, 教授 (30280564)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード重力時間変化 / 衛星海面高度計 / Argo float / 日本海 / 季節変化 / 永年変化 / 地震活動 / 年周地殻変動
研究実績の概要

初年度は必要なデータの整備に集中し、ほぼ目的の達成に必要なデータを入手することができた。本研究では海洋の荷重変化を季節的および永年的な成分に注目する。従来海洋の質量変化の唯一の手がかりは重力衛星(GRACE衛星 Gravity Recovery and Climate Experiment)であり、そこで得られた月ごとの重力の変化から地球上の質量の再配分を議論してきた。しかしGRACE衛星データは空間分解能が悪く、陸上の質量変化(主に陸水の変化)の漏れこみが問題であった。この研究ではGRACEデータを検証するために、衛星海面高度計のデータと、Argo Floatと呼ばれる海洋のその場観測による温度プロファイルデータを入手した。前者は海水の質量変化と海水の温度変化に伴う熱膨張の両者を含んでおり、そのままではGRACEデータと比べられない。しかし後者で海水の深度2000mまでの温度プロファイルから海水の熱膨張成分が計算できるため、前者の海面高度データからそのぶんを差し引くことにより、純粋に海水の質量変化による海面高変化を抽出することが可能である。それによって重力変化を示すGRACEとの直接比較ができるようになった。
問題の日本海において、(1) 重力変化(GRACE)、(2) 海面高変化(衛星海面高度計)、(3) 温度変化による海面高変化(Argo Float)の三者を比較した。具体的には(1)と(2)-(3)を比較して、概ね調和的な季節変化や永年変化を見せることが確認された。GRACEでは夏季に海水で5cm程度の質量の減少が見られており、それと日本海東縁で発生する被害地震が夏に集中することの関連が示唆されていたが、(2)-(3)でも同様な季節変化が得られることがわかり、GRACEデータの正しさが立証された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

海面高度計のデータをAVISOから2001年から2017年までの月ごとのグリッド値を入手した。またArgo floatのデータも一度グリッドの月ごとの海水温度プロファイルデータを入手することができた。それらはいずれもNETCDF形式であったが、それらをダンプして後の処理に便利なアスキーファイルに変換するプログラムを開発した。その結果今後の研究の継続に必要な一通りのデータを使用可能な状態に持ってくることができた。

今後の研究の推進方策

海面高度計から海水の熱膨張を補正したものとGRACEによる重力変化が調和的であることを日本海において確かめ、永年変化と季節変化について特徴を把握する。それらを東北日本陸域のGNSS局の季節的な地殻上下変動と比較し、海水荷重変化と積雪荷重変化によってそれらが説明できることを立証する。また日本海東縁部の海底における荷重の季節変化と、アムールプレート東縁で発生する被害地震の季節性の関係を調べ、その原因を明らかにする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The potential of GRACE gravimetry to detect the heavy rainfall-induced impoundment of a small reservoir in the upper Yellow River2017

    • 著者名/発表者名
      Yi, S., C. Song, Q. Wang, K. Heki, and W. Sun
    • 雑誌名

      Water Resources Research

      巻: 53 ページ: 6562-6578

    • DOI

      10.1002/2017WR020793

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Acceleration in the global sea level rise: 2005-20162017

    • 著者名/発表者名
      Yi, S., K. Heki, and Q. Qian
    • 雑誌名

      Geophysical Research Letters

      巻: 44 ページ: 11905-11913

    • DOI

      10.1002/2017GL076129

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 潮位と地殻変動:宇宙技術で何が変わったか2018

    • 著者名/発表者名
      日置幸介
    • 学会等名
      2017年度地殻変動研究集会
  • [学会発表] Water mass variation in the Japan Sea from satellite gravimetry: Comparison with seasonal movements of GNSS stations2017

    • 著者名/発表者名
      Doto, S. and K. Heki
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union, 2017 Meeting (joint with American Geophysical Union)
    • 国際学会
  • [学会発表] Seasonal water mass variation in the Japan Sea from satellite gravimetry: Comparison with GNSS and seasonality in earthquake occurrences2017

    • 著者名/発表者名
      Doto, S. and K. Heki
    • 学会等名
      IAG-IASPEI 2017 Joint Scientific Assembly
    • 国際学会
  • [学会発表] 東北日本の季節的地殻変動再訪:日本海の海水荷重と積雪荷重の変動2017

    • 著者名/発表者名
      日置幸介、道藤俊
    • 学会等名
      日本測地学会周期講演会
  • [図書] 動く地球の測りかた2017

    • 著者名/発表者名
      河野宣之、日置幸介
    • 総ページ数
      124
    • 出版者
      東海大学出版部
    • ISBN
      978-4-486-02128-5

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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