研究課題
3次元不均質電気伝導度媒体の電磁場応答計算の定式化を終了し、FORTRAN90とMPIによるプログラミングを行った。定式化は各サブルーチンと途中受け渡しまでの、計算式・パラメータまでリスト化した。定式化中、本計画最大の課題である非平面波ソースの扱いは、地表の線電流の組み合わせで閉曲線電流を形成する方法を採用した。本計画では地下の電気伝導度変化に伴う電磁場応答の時間領域データを扱うことを最終目的とし、その目的の為に周波数領域で電磁場変動計算を行い、ラプラス逆変換で時間領域に変換する計画であったが、時間領域そのものを計算する、有限要素時間領域法(FETD法)による定式化に変更した。周波数領域の電磁場計算よりも時間領域の電磁場計算は、非平面波ソースの扱いがプログラム上容易であるメリットがある。プリプロセスの構造メッシュ作成ではTetGenプログラムを採用し、4面体要素を用いた有限要素パラメータを入力として採用した。プログラミングはTetGenプログラムの出力パラメータを読み込んで、電磁場計算を行う直前部分まで終了した。プログラム上の難点は、地表に対して鉛直の磁気ダイポールモーメントを地表に沿った線電流を組み合わせた閉曲線電流から作ることであるが、線電流の繋ぎ目は正負の電流湧き出し・吸い込みを作り、正と負の湧き出し・吸い込みを隣接する微小な有限要素に配置する必要がある。単純化した直線電流ソースの時間領域計算は2010年、周波数領域計算は2017年に論文化されているが、閉曲線電流ソースにする場合の問題点を情報収集する為、周波数領域の論文を発表したドイツ人研究者の学会発表を聞き情報を収集した。
4: 遅れている
本計画の主目的である計算プログラム開発において、電気伝導度異常体から散乱された電磁波を周波数領域で計算し時間領域に変換する方針を、直接時間領域で計算するアルゴリズムへ変更を行った。変更した定式化自体は7月頃までに終了した。その後プリプロセスとしての媒体の有限要素メッシュジェネレータをTetGenに選定し、パラメーター読み込みまでのプログラミングは順調に推移した。しかし7月以降、計画時に想定していなかった組織内施設設備整備役や学内教育が入ったため、12月の学会時に情報収集を行った以外は、本研究に全く時間を割くことが出来ず、大幅に研究が遅れている。
今年度半ばまでにプログラムを完成させるとしていた当初の計画を、半年遅れの今年度中に実現することを目標とする。AMT法から求めている蔵王山の電気伝導度構造を用いて今年度中にシミュレーションを行う予定であったが、プログラム完成が前倒しできればシミュレーションも実行し、来年度(平成31年度)に計画している実際の野外実験に間に合わせる。
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