研究実績の概要 |
スーパーアース深部におけるMg-Si-O系ポストポストペロブスカイト相転移 Mg-Si-O系について、スーパーアースのマントル深部で起こるであろう新たな相転移(ポストポストペロブスカイト転移)を予言した。純粋なMgSiO3ポストペロブスカイトについて、以前筆者らは分解する予想を立てた。このMgSiO3がMgOあるいはSiO2と共存する場合、分解に先立って結合してMg2SiO4あるいはMgSi2O5になることを新たに予言した。これらの転移の圧力は非常に高く、実験で再現するのは現段階では難しい。そこで、同様の転移が十分低圧で起こるであろう低圧アナログ物質の提案を行った。それらはMg-Ge-O系とNa-Mg-F系であり、それぞれMg2SiO4とMgSi2O5を研究するにあたり、有用な低圧アナログ物質になることを示した。また、不純物として、アルミニウムと鉄が、ポストポストペロブスカイト転移にどのような影響を及ぼすかを調査中である。
地球外核の軽元素 地球外核は液体鉄と軽元素との合金でできている。ところが、軽元素の種類と量が実際にどうなっているのかは未解明で、地球科学の大きな問題の一つである。本研究では、軽元素の候補である水素、酸素、炭素、硫黄、ケイ素と、液体鉄との合金について第一原理計算を行い、その結果を地震波測定の結果と比較して、軽元素の種類と量を拘束することを目指した。地震波測定の結果ともっとも一致する軽元素の組み合わせは、内核境界温度(T_ICB)に依存することを示した。すなわち、T_ICBが高いとき(~6,000K)、酸素が最も主要な軽元素である。一方、T_ICBが低いとき(<~5,400K)、今度は水素が最も主要な軽元素である。
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