ダストアグリゲイトの力学物性は,惑星形成の初期段階に大きな影響を与える.弾性率が大きくなると,衝突した際に変形することができず跳ね返ってしまい,微惑星形成が阻害されることが指摘されている.弾性率が増大する要因としては焼結があげられる.そこで本研究では,室内実験と数値シミュレーションにより,ダスト微粒子間のバネ定数が焼結によりどう変化するのかを明らかにした.ダスト微粒子の相互運動には 1:伸び縮み 2:ころがり 3:すべり 4:ねじり の4つのモードが存在する.室内実験は1:伸び縮み モードについてのみ行い,数値シミュレーションは全てのモードについて行なった.伸び縮みモードについては,室内実験と数値シミュレーションの結果がよく一致することがわかった.また,全てのモードについて半解析解を導出し,パラメータを数値シミュレーションから決定した. 従来の単純なモデルでは,結合部のみの変形を考えていたため,バネ定数を過大評価していたことが明らかとなった.これは,実際にはダスト微粒子本体も変形するためである.これらの中でも 1:伸び縮み のモードについて従来のモデルとの差が大きくなった.この差がダストアグリゲイトの衝突にどのような影響を与えるのか明らかにするために,ダストアグリゲイトの衝突シミュレーションを行なった.ダスト微粒子間のバネ定数として,本研究で明らかになった経験式と従来のモデルとの2通りでシミュレーションを行なった.しかし,これら二つのモデルの間で衝突の結果に顕著な差は見られれなかった.これは,ダストアグリゲイトの力学物性は2:ころがり モードで決まっており,1:伸び縮みの影響は小さいことが原因である.
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