研究実績の概要 |
非常に小さなキロメータサイズの微惑星から惑星への衝突成長過程を現実的な衝突モデルを考慮した統計的シミュレーションにより行った.その結果,原始惑星系円盤の乱流が強いほど惑星が大きくなることを示した.その理由は以下である.(1)原始惑星系円盤の乱流が強い方が惑星形成の前駆体となる暴走成長サイズが大きくなる.(2)前駆体は自己重力に守られて破壊が起きにくくなり,大きな惑星が形成されてもその摂動で前駆体が壊れない.(3)前駆体が壊れて小さくなるとガス抵抗により中心移動するため材料物質が減ってしまうが,壊れない場合は材料物質が保持されて大きな惑星が形成される.以上の結果が,Astrophysical Journalに掲載された(Kobayashi & Tanaka 2018). .また,衝突モデルを改善するための衝突シミュレーションも積極的に行ない,その結果を3編の論文にまとめた(Suetsugu, .., Kobayashi et al. 2018; Sugiura, Kobayashi, Inutsuka 2018, 2019). 統計的シミュレーションのコード開発も着実に進め,ダストから惑星までの40桁以上の質量を取り扱えるようになった.その結果,惑星の成長が微惑星集積だけでなく,外側の円盤で成長して動径移動により落ちてきた小石サイズの天体の集積も一貫して取り扱えるようになった.このシミュレーションは非常に計算コストが高いものになってしまったので,シミュレーションの高速化も併せて行い,従来の数倍の速度でシミュレーションが実行できるように改善した.
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