研究実績の概要 |
ダストから惑星までの40桁にも及ぶ質量成長を取り扱うための一貫した惑星形成シミュレーションのコードの開発を行なってきた。昨年度にコードは概ね完成していたため、様々なパラメータを用いたパラメータサーベイを行なった。非常に計算機コストのかかるシミュレーションであるため、最新のコンピュータを購入してシミュレーションの実行効率を上げた。また、昨年度にコードは完成したと思っていたが、これまで見えていなかった効果で計算精度が悪くなる部分を見つけ、それを改良した。 こうして行われたシミュレーションの結果、以下のことがわかってきた。(1)10AU以内の円盤では、中心星落下せずにダストが成長する。(2)成長したダストは寡占的成長を続け、乱流摂動よりも重力相互作用が強くなると暴走成長を始める。(3)暴走成長により原始惑星を作る。(4) 原始惑星摂動により微惑星間の衝突は破壊的になり、微惑星は消失する。このような4つの過程で惑星形成は起こるが、それぞれの過程は我々のこれまでの研究でわかっていることだった。しかし、本研究により、10AU以遠から落下してきた小石サイズの天体が10AU以内の微惑星を形成し、原始惑星成長を誘発することが新たにわかった。 本研究の研究で必要な天体の衝突破壊モデルのアップデートをするための衝突シミュレーション研究や本研究の仮定を証明するため衝突破壊が起こった時の原始惑星の軌道進化についての研究も行い、それぞれの結果についても論文にまとめた(Sugiura, Kobayashi, Inutsuka 2020, Kobayashi, Isoya, Sato, 2019)。
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