本研究では、微惑星形成の前後と分けて考えられ てきた過去のモデルを脱却し、ダストから惑星まで一貫したモデルにより惑星形成の問題を解決する。昨年度までにダストから惑星までの40桁にも及ぶ質量成長を取り扱うための一貫した惑星形成シミュレーションのコードの開発を完成したため、このコードを用いて様々なパラメータを用いたパラメータサーベイを行なった。衝突破壊を考慮したシミュレーションは非常に計算コストがかかるために、主に衝突合体のみを考慮したシミュレーションを実行した。その結果、以下のことがわかってきた。(1)微惑星形成半径(~10AU)以内の円盤で、中心星落下せずにダストが成長する。(2)成長したダストは 寡占的成長を続け、乱流摂動よりも重力相互作用が強くなると暴走成長を始める。(3)暴走成長により原始惑星を作る。(4) 原始惑星は微惑星成長半径の外側から流入してくる小石が微惑星に成長し、この微惑星を集積することで非常に早く(~20万年)形成される。このような4つの過程で惑星形成は起こる。これらの過程は過去の研究で調査されていることだったが、本研究結果を解釈するためには過去の研究結果の解析解を手直しが必要になることを明らかにした。例えば、微惑星成長半径に到達した小石は微惑星に成長するために微惑星面密度を増やす。また、主に集積する微惑星のサイズは衝突成長中であるため小さめになる。これらの効果によりガス集積を引き起こしうる固体核成長時間は10倍地球質量で数万年と非常に短くなり、I型惑星移動の影響を受けずにガス惑星形成が可能になることを示した。このようなメカニズムで様々な軌道を持つ、巨大ガス惑星を形成できる。
|