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地震動にともなって生じる電磁場変動について観測・理論の両面から調べ、これまでに提唱されている基礎理論が実際に生じる地震時電磁場変動を説明できるのか否かを明らかにすることが本研究の目的であった。
観測では、四国西部において連続観測を継続したほか、2020年から群発地震活動が見られるようになった能登半島における電磁気構造探査を目的とする臨時観測の中で、地震時電磁場変動の検出も試みた。四国西部においては特に大きな地震を観測する機会はなかったが、能登半島においては観測期間中にも複数の地震が発生し、地震時電磁場変動が捉えられた。研究期間終了間際であったために解析は完了していないが、先行研究で得られたものと比べて震源に近い場所、かつ複数の観測点で得られた貴重な観測事例であるので、今後の解析によって新たな知見が得られることが期待できる。
理論に関しては、界面導電現象と動的電磁誘導の二つが地震時の電磁場変動を作り出す主要メカニズムであると考えられてきており、これまで界面導電現象による電磁場変動の計算法は確立していたが、動的電磁誘導は、内在する方位依存性のためにこれまで3次元における計算法は確立していなかった。本研究の成果として、動的電磁誘導による電磁場変動の計算を界面導電現象によるものと同様に行うためのカギとなる式を導出することに成功し、従来よりも一般的な状況において地震時電磁場変動の理論値を求めることが可能となった。またここから派生した成果として、同じ計算手法が層構造媒質中の応力磁気効果による磁場変化の計算にも応用できることに注目し、具体的な計算法を論文としてまとめ出版した。
また、地震動よりも遅い動きに対する地殻の電磁応答の理論に関して最近発表された論文の内容を精査した結果、電場変動の見積もりに不正確な点を見つけたため、これを指摘する論文を出版した。
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