研究実績の概要 |
氷天体における地下海の誕生から現在までの進化を説明するために,H2O の固液状態変化と深部岩石マントル・金属核も考慮した各層の熱輸送を考慮した数値モデルの構築と基礎計算を行った.具体的には,原始氷衛星が持つ多様な内部熱構造や分化度に対応する初期条件を設定し,熱進化に伴う水の状態変化や氷・岩石の相変化,地下海溶存種の存在等を組み込んだ数値プログラムの構築を行った.また,その初歩的な解析対象として,天体サイズ(内部圧力)と氷岩石比の関係から,低圧氷だけが内部に現れる構造(岩石密度が低く,従って岩石核サイズが大きい&H2O層厚が薄い場合)と,高圧氷も同時に出現する構造(岩石密度が高く,従って岩石核サイズが小さい&H2O層厚が厚い場合)の両方が存在する冥王星を選択した.氷粘性率や岩石中の放射性熱源量などをパラメタとした計算を行い,結果を国際学会(Japan Geoscience Union Meeting 2018, Asia Oceania Geoscience Society 2018 Meeting)にて発表したほか,本課題を含む氷天体の包括的な現状理解と将来展望を示す招待講演を行った.
また,衛星系形成の素過程を議論する場として,2018年3月26日から30日にかけて,名古屋大学においてCircumplanetary Disks and Satellite Formation Workshopを開催した.
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