今年度は,前年度までに本課題の研究により得られた知見である,スロー地震とスラブ内地震の発生時期の連動性に関する理解を深めるため,スラブ内地震とスロー地震についてそれぞれ理解を深めるための研究活動を行った.東京大学地震研究所,筑波大学,産業技術総合研究所,防災科学技術研究所,横浜市立大学,文部科学省等,複数の大学や機関などへ外勤・出張を行い,広い視点からの様々な知見交換をすることができた.また,国内学会(日本地球惑星科学連合)での国際セッションの開催を行い,国内外にて招待講演2回を含む研究発表も5回行うことができた.また,前年度までに得られている結果では,スロー地震のセグメント境界と連動してスラブ内地震が空間変化していた.スロー地震の発生タイミング前後でスラブ内地震のb値が変化していることを見つけたが,その理解を深めるためにはスラブ内地震のb値の時空間変化の意味を理解する必要がある.そのため,実験岩石学者であるThomas Ferrand博士(カリフォルニア大学サンディエゴ校研究員)に本研究計画へ加わっていただき,米国からの短期間の招聘を行い,実験岩石学から見たb値の解釈について知見をご教示いただき,岩石実験に関するセミナーも建築研究所にて行っていただいた.このセミナーには,つくば市地域の他の研究所・大学の研究者も参加していただき,共にスラブ内地震とスロー地震全般に関する議論も行うことができた.Ferrand博士が日本滞在中に行った,東京大学地震研究所や東北大学などの複数の地震学の研究者との意見交換で得た内容についてもご教示いただき,チリの沈み込み帯での臨時観測データとの比較を勧めらた.
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