研究課題
基盤研究(C)
月のマントルについて、組成と温度をパラメータとして密度と弾性率を計算する定式化を行い、仮定した温度範囲の下で、最新の測地観測データおよびアポロ走時データと調和的な月内部構造モデルをマルコフ連鎖モンテカルロ法によって構築した。その結果、マントルは化学的に少なくとも2層に分かれていることが示唆された。低速度・低粘性層の物質がチタンに富む玄武岩であるとすれば、この層を下部マントルより高温に維持する機構が必要であり、潮汐加熱がその候補となる。
惑星測地学
内部構造は、月や惑星の起源・進化を考える上で非常に重要な情報であるが、身近な天体である月でさえ観測が限られており、内部構造の不確定性はまだ大きい。本研究では、月についてアポロ時代の月震データと最新の測地データに熱化学的制約を加えることにより、マントル部分の組成を含む月内部構造モデルを構築した。温度の仮定は残るものの、マントルの化学的な成層構造や月深部の潮汐加熱を示唆する結果が得られた。この手法は将来新たな観測データ得られた際の内部構造解析にも適用できると考えられる。