研究実績の概要 |
前年度に引き続き、データを解析し、その結果を論文にまとめる作業を進めた。(1)青ヶ島東方沖海底データの解析:2015年5月2日スミスカルデラ地震(M5.7)の津波記録を解析し、この地震が地震の規模と比べて津波の規模が異常に大きな所謂「津波地震」であることを明らかにし(Fukao et al., Sci.Adv. 2018)、アレー記録だけから津波波源を地震の震源よりも高精度に決められることを示し(Sandanbata et al., PAGEOPH 2018)、この津波による荷重変化が青ヶ島を如何に変形させたかを明らかにした(Nishida et al., JGR-Solid Earth, 2019)。また青ヶ島沖の海底圧力記録1年分(2014-2015)を解析し、1か月毎に半日周期の内部潮汐波を外部潮汐から分離抽出し、内部潮汐波の発生源の詳細を明らかにした(Fukao et al., JGR-Oceans, 査読中)。(2)鳥島はるか東方沖データの解析:巨大地震発生歴のない伊豆小笠原海溝でどのようなプレート間滑りが起きているかを調べつつある。これまでに2015年9月1日海溝地震(Mw=6.0)の余効変動、同月5日の小余震を契機としたslow slip、2015年12月31日海溝地震(mb=4.8)の小余震(1月2日)を契機としたslow slipを検出した。検出された海底上下変動の大きさは数cm程度、時定数は5000-10000秒程度である(2018地震学会、2018AGU Fall meeting)。(3)ParoScientific社新開発の水晶式高感度傾斜計を特注し、そのテスト観測を名古屋大学犬山観測所壕内で実施した。テスト実施中にノイズが急増する事態が発生したため、測器を会社に返送し原因を追究しつつある。
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