研究課題/領域番号 |
17K05650
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 雲 / エアロゾル / 光学的厚さ / 有効半径 / 地上観測 / 衛星観測 |
研究実績の概要 |
平成30年度において、スカイラジオメータを用いた水雲推定アルゴリズムを更に強化し、氷雲の光学的特性(光学的厚さCODと有効半径CER)の推定も可能とした。様々な大気を反映するシミュレーションデータを作成し、そのアルゴリズムの精度評価を定量化した。また、本アルゴリズムを用いた雲推定の精度評価は、間接的に、観測の放射輝度・照度などのデータを用いて行った。 上記で述べたアルゴリスムを用いて、SKYNET(http://atmos3.cr.chiba-u.jp/skynet/)の複数観測サイト(千葉、辺戸岬、福江島、仙台)におけるおよそ4年間の観測データを解析し、サイトごとに異なる雲の特性とそれに対する地上付近エアロゾルの関わりについて調べた。これにより、吸収性エアロゾルが雲推定に影響を及ぼすことの可能性を示唆した。 並びに、スカイラジオメータを用いた雲推定の結果にスカイラジオメータと同時観測の日射量等のデータを加えて、ひまわり8号搭載のAHIのみならず、TERRAとAQUA衛星搭載のMODISセンサーとGCOM-C衛星搭載のSGLIセンサーによる水雲と氷雲の特性(CODとCER)の検証を行った。全体として、水雲と氷雲双方に衛星観測に基づくCODの精度は雲の厚さに強く依存することを示唆した。光学的に薄い(厚い)雲に対する衛星センサーによるCODは地上放射観測データに比べて過大(過小)する傾向が見られた。スカイラジオメーターのCERと衛星センサーのCER の相関は低いといえる。全体として、衛星観測に基づくCERは、地上観測スカイラジオメーターの値より大きくなる結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、スカイラジオメータを用いた水雲と氷雲の光学的特性(光学的厚さCODと有効半径CER)を推定可能なアルゴリスムの開発が出来た。また、推定の雲特性の精度におけるエアロゾルの影響についてシミュレーション結果と実際の観測データを用いた解析により双方から検討することが出来た。計画していたスカイラジオメータを用いたひまわり8号搭載のAHIセンサーによる雲特性(CODとCER)の検証に加え、TERRAとAQUA衛星搭載のMODISセンサーとGCOM-Cに搭載のSGLIセンサー観測の水雲と氷雲の精度評価も実施することが出来、その結果とひまわり8号搭載のAHIセンサーに関する結果間の整合性を確認することも出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究において、以下の点に焦点を絞る。 1. これまで実施して来た衛星観測に基づく雲プロダクトの検証を、検証サイトと検証期間を増やして、今後も継続する。 2.スカイラジオメーター観測のスペクトル天頂放射信号を基に、雲の相(水雲か氷雲)の判別できる方法を開発する。その開発についての研究は、現在進行中である。その機能は上記述べたアルゴリズムパッケージに加える。 3.現在の雲推定アルゴリスムにて0.87umと1.02umと1.627umのみの波長を用いたが、そのほかに可視領域におけるエアロゾル観測用チャンネル (0.34,0.38,0.4,0.5,と0.675um) における観測の データを用いて、曇天におけるエアロゾルの光学的厚さ(AOD)と雲パラメータ(CODとCER) を並行に推定できるアルゴリズムを開発する。こうしたエアロゾルと雲のデータを利用し、エアロゾルが雲へ及ぼす影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に計画したアメリカ地球物理連合大会に、学務の都合により忙しくて出席できなくなりました。また、平成30年度に論文の投稿も間に合いませんでした。そのような理由で次年度使用額が生じました。その額は今年度使う予定です。今年度は、アメリカ地球物理連合大会等の海外学会に出席する予定であり、現在、昨年度投稿できなかった論文の投稿の準備を進めているところです。
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