研究課題/領域番号 |
17K05656
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研究機関 | 松江工業高等専門学校 |
研究代表者 |
杉山 耕一朗 松江工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (60463733)
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研究分担者 |
中島 健介 九州大学, 理学研究院, 助教 (10192668)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 惑星大気 / 木星型惑星 / 雲対流 / 数値モデリング / 雲解像モデル |
研究実績の概要 |
凝結性成分が多い条件下で発生する雲対流の基本的特徴を調べることを目的として,H2O と NH3 の凝結および NH4SH の化学反応に伴う対流抑制を念頭においた数値実験を行った.当該年度は凝結性成分の存在度をパラメタとした雲対流シミュレーションの追加実施と結果の解析を行い,これまでに得られた凝結性成分が多い条件下においても活発な積雲が間欠的に発生するという特徴を説明するメカニズムについて考察を行なった.解析により,数値シミュレーション中に見られる積雲の間欠的な発生は,地球で見られる「スコールライン」と同様な雲対流活動の組織化を伴っていることが明らかになった.すなわち,活発な積雲が発生する直前では,降雨粒子の蒸発冷却に伴って生じた下降流が周囲に補償流としての上昇流を駆動し,相対的に低い高度に次の雲を発生させるという雲対流活動が繰り返されていた.このように組織化された雲対流活動によって降水粒子の蒸発冷却によって駆動される下降流の到達高度は次第に下がり,ついには凝結高度および化学反応の生じる高度付近に形成される安定層の影響を受けるようになる.静的に安定した凝結高度・反応高度は地球のスコールラインにおける「地表」と同じ役割を果たしており,降水粒子の蒸発冷却によって駆動された流れの向きを変え,水平方向に強い寒気流出を形成する.寒気流出の前面では収束が強く生じるため,凝結高度・反応高度付近の凝結性成分を多く含む相対的に重い空気塊が強制的に持ち上げられ,強い積雲の発生が実現されていた. また,上記に加えて,雲解像モデルの定式化の再検討ならびに数値実験で得られる大規模数値データの効率的な可視化手法の検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
凝結性成分が多い条件下で発生する雲対流の基本的特徴についてまとめることができ,学会発表も順調に行うことができた.研究成果の論文としてまとめる準備を行っているところである.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果を論文としてまとめる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で業務が増え,論文執筆が遅れたため,論文投稿料を次年度送りとした.
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