研究課題
基盤研究(C)
本研究では、全球大気状態の解析について、データ同化で重要な誤差共分散行列の高精度化によって同化可能な観測の制限を緩和し、飛躍的に多くの観測情報の同化を可能にした。これにより解析、予測精度や理論整合性が顕著に改善することを示した。観測情報の増強により変分法の随伴モデルをアンサンブル予報に置き換えた場合でも高い精度が得られることを示した。アンサンブル同化による客観推定で構築した高精度な背景誤差共分散行列をネットワーク理論に基づいて解析し、大気摂動の基本的な性質を明らかにした。
データ同化
大気はカオス系であり、その状態解析や予測の高精度化や理論整合性の向上は重要な科学的知見である。高精度な大気状態解析は、大気科学の発展に不可欠なデータセットの生成を可能にし、これらの発展にも不可欠である。ネットワーク理論による大気摂動の基本構造の解明は大気科学に新しい描像を提供する。また、データ同化を利用する他分野(海洋、固体地球、地球重力圏等)に広範囲に応用可能な普遍的知見となる。大気状態の解析や予測は社会基盤情報であり、その精度や理論整合性の向上は社会的にも重要である。