研究課題/領域番号 |
17K05659
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 陽祐 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10633505)
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研究分担者 |
榎戸 輝揚 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (20748123)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 雲物理 / 雷 |
研究実績の概要 |
平成29年度は本研究で主に利用するSCALEライブラリの妥当性の検証と改良に取り組んだ。 研究は、佐藤らが開発してきた、雷モデルを実装した次世代気象ライブラリ(SCALE-TH)を用いて、スコールラインを対象とした数値実験を行った。 実験は雷モデルを用いて過去に行われた数値実験(Mansell et al. 2005)と同様の実験設定で行い、先行研究の結果と比較することでSCALE-THの妥当性を検証した。実験の結果から、SCALE-THは先行研究によって計算されたスコールラインの構造をよく再現していた。本研究の対象とする雷に関わる物理量:電荷密度・落雷数に関しても、SCALEは先行研究で計算された電荷密度や落雷数をよく再現しており、SCALE-THの妥当性を確認した。これらの研究成果は平成29年度中にまとめて、平成30年度に行われる予定の国際学会に投稿した。 次に本研究の対象とする台風の数値実験を行った。台風の数値実験を行うにあたり、台風を専門に研究するマイアミ大学の宮本佳明博士を招聘し、数値実験の設定を決定した。数値実験の結果を解析すると、SCALE-THは台風の構造は再現されていたものの、落雷数を(これまで経験的に妥当だと考えられてきた落雷数に比べて)大きく過大評価していることが明らかになった。そこでSCALE-THが台風の事例では落雷数を過大評価している原因を調査し、SCALE-THの改良に大半の時間を割いた。 SCALEの改良作業に時間を要しているが、SCALE-THは本研究の基礎となるツールであるため、平成30年以降はモデルの改良を最優先にして行う。加えて、研究分担者である榎戸が北陸地方で行っている、冬季の雷雲に関する観測を拡張するために電場計を購入し、平成30年度の冬季に行われる観測の準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電場計を購入し、観測の準備を進めるなど、観測に関する準備は順調に進んでいるが、平成29年度中に研究代表者の佐藤が異動となり所属が変更になった。 異動によって研究環境(主に利用できる計算機など)が大幅に変わったため、研究環境を整える必要があった。そのため、SCALE-THの改良作業に遅れが出ている。 平成29年度中に研究環境を整えたたため、平成30年度以降中にこの遅れを取り戻せる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り佐藤の所属変更に伴い、SCALE-THの改良と開発作業に遅れが生じている。この遅れは、主に利用できる計算機の制限による。研究開始時に佐藤が所属していた研究所は京コンピュータを所有する研究所であり、計算資源が充実していたが、現所属はそれに比べ計算資源が乏しい。平成29年度中に平成30年度の研究費を前倒し利用して計算機の利用環境を整えた。この計算機を用いてSCALE-THの改良を行っていく目処が立った。 同時に平成29年度に計算資源利用に関する複数の公募に応募することに加え、平成30年度以降も計算資源を確保するために、計算資源利用に関する公募に応募する予定である。 これらによって、計算機資源が不十分なことによる研究の遅れを取り戻していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度中に研究代表者である佐藤の所属が変更になり、研究環境が大きく変わった。現所属(異動後の所属)では、計算資源を十分に所有していないため、SCALE-THの改良に用いる計算機がなく、改良の作業が十分にできなかった。 この問題を解決するために、ワークステーションを購入することが必要となった。同時に平成30年度に参加予定であった国際学会が日本で開催されることが決まったため、平成30年度に利用する旅費を大幅に縮小することができた。 以上から、平成30年度に利用する予定の研究費を前倒して平成29年度に利用してワークステーションを購入し、計算機環境を整えた。
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