研究実績の概要 |
令和1年度は研究代表者の佐藤は、前年度までにSCALE-THを使って得られた成果を外部に発表するフェーズと位置づけ、国内外の学会で発表を行うだけでなく、2編の投稿論文として投稿した。そのうちの1編は令和1年度中に発表され(Sato et al. 2019)、もう1編は現在査読・改訂の途中であり、令和2年度中には発表できる見込みである。これにより、研究開始時に目的として掲げていた4つの項目のうち、「台風、雲システムの電荷・電場構造の理解」と「エアロゾルが雷に与える影響評価」の2を達成した。 また、本研究で得られたSCALE-THを国内外の研究コミュニティに利用してもらうために、理化学研究所のホームページでSCALE-THを公開すべく、SCALEの開発バージョンにSCALE-THを統合した。これにより令和2年度中にリリースされるSCALEの新しいバージョンにSCALE-THが含まれて公開されることなり、本研究で得られた成果を公開できた。 同時に研究分担者の榎戸は金沢で雷雲から放出されるガンマ線の観測を多地点で実施した。それらの結果から雷雲から放出される高エネルギー粒子に関する複数の研究成果を発表した(Wada et al. 2019a, b)。これにより研究開始時に目的として掲げていた4つの項目のうち、「雷放電と高エネルギー粒子の関係を理解するためのデータ取得」が達成された。 最後に4つの項目のうちの残り1つである「SCALE-THの出力を用いた粒子加速計算の実施」SCALE-THの出力を用いた粒子加速計算の準備に取り掛かった。最後の目標は成果発表にまで至っていないが現在進行形で進めている研究であり近い将来に成果発表できる見込みである。
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