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2017 年度 実施状況報告書

アンサンブルデータ同化を利用した大気海洋結合モードの抽出とその短期予測への応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K05663
研究機関国立研究開発法人海洋研究開発機構

研究代表者

小守 信正  国立研究開発法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, 主任技術研究員 (80359223)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード海洋物理・陸水学 / 気象学 / 大気海洋相互作用 / データ同化 / 季節変動予測
研究実績の概要

局所アンサンブル変換カルマンフィルタ (LETKF) を用いて全球大気海洋結合モデル CFES へ大気観測データを同化し大気場のみを修正するシステム CLEDAS-A に関して、その概要および2008年8月から2ヶ月間の同化実験の解析結果を論文にまとめ、国際誌に投稿した。
短期変動予測への応用に資するため、同じく CFES へ海面水温の観測データのみを簡便な手法(ナッジ法)を用いて同化する試験的な季節予測システムを構築し、各年の3月1日・6月1日・9月1日・12月1日から半年間の予測を12メンバーで行う実験を1983年から実施した。先行研究に倣って2015年までの統計的な性質を解析し、エルニーニョ・南方振動現象 (ENSO) に対応する熱帯太平洋の変動に関して、(i) 北半球の夏季は赤道太平洋東岸付近で、冬季は赤道太平洋中央部で年々変動が卓越するという観測データに見られる季節性は、このシステムでは必ずしも明瞭ではないこと、(ii) 季節平均(MAM・JJA・SON・DJF の各3ヶ月平均)した海面水温の予測スキル(観測データとの偏差相関係数で評価)は、1季節目・2季節目ともに比較的良好であり、先行研究と同様に、北半球の晩冬から予測した夏季のスキルよりも晩夏から予測した冬季のスキルの方が高いという明瞭な季節性があること、などを示した。また、2017年冬季に発生したラニーニャ現象が半年前から予測可能であることを確認した。この試験的な季節予測システムでは、海氷が観測されている海域の海面水温は観測データではなくモデルの結氷温度へ緩和している。月平均した両極域の海氷分布の予測スキルは、1ヶ月目は高い値を示しており、このような取扱いが初期値化という観点では良好に機能していることが判明した。
これらと並行して、LETKF を用いて海洋観測データを同化するための準備を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定を変更し、アンサンブル手法を用いて海洋観測データを同化するシステムを構築するのに先立って、短期変動予測への応用に資するため、簡便な手法を用いて海面水温の観測データのみを同化する試験的な季節予測システムを構築した。3ヶ月毎に半年間の予測を行う実験では比較的良好な結果が得られており、本課題で使用する全球大気海洋結合モデルの有効性が確認できたのに加え、アンサンブル手法を用いたシステムを構築した際の比較対象としても利用可能である。

今後の研究の推進方策

【研究実績の概要】に記載した、簡便なデータ同化手法を用いて構築した試験的な季節予測システムに関する成果を論文にまとめ、国際誌に投稿する。
アンサンブル手法を用いて海洋大循環モデル・全球大気海洋結合モデルへ海洋観測データを同化するシステムを構築し、海洋の局所化スケールを変えた実験などを行い、『強結合』データ同化システムの開発に向けた基礎的な知見を得る。

次年度使用額が生じた理由

簡便な手法を用いた試験的な季節予測システムの構築に関する研究を優先的に実施したため、当初の予定よりも出力されるデータ量が少なく購入した RAID システムに内蔵するハードディスクを本課題の予算から支出するには至らなかったこと、および、アンサンブル手法に関する連携研究者との研究打合せのための出張を見送ったこと、が主な理由である。
アンサンブル手法を用いて海洋観測データを同化するシステムの構築やそのための研究打合せは次年度に実施するため、そのための費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)

  • [学会発表] AFES-LETKFデータ同化システムでのEFSOを使ったラジオゾンデ観測インパクトの診断・評価実験2018

    • 著者名/発表者名
      山崎 哲, 三好 建正, 榎本 剛, 小守 信正, 猪上 淳
    • 学会等名
      第8回データ同化ワークショップ
  • [学会発表] Experimental seasonal climate prediction using CFES: Preliminary results2018

    • 著者名/発表者名
      Nobumasa Komori, Bunmei Taguchi, Akira Kuwano-Yoshida, Takeshi Doi, Masami Nonaka
    • 学会等名
      2018 Ocean Sciences Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Quantifying the relative contribution of remote influence from tropics and extra-tropical oceanic variability on the interannual-to-decadal variability of the midlatitude atmosphere2018

    • 著者名/発表者名
      Bunmei Taguchi, Kazuaki Nishii, Hisashi Nakamura, Yu Kosaka, Masato Mori, Takafumi Miyasaka, Nobumasa Komori, Akira Kuwano-Yoshida, Masami Nonaka
    • 学会等名
      2018 Ocean Sciences Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Experimental seasonal climate prediction using CFES: Preliminary results2017

    • 著者名/発表者名
      Nobumasa Komori, Bunmei Taguchi, Akira Kuwano-Yoshida, Takeshi Doi, Masami Nonaka
    • 学会等名
      JpGU-AGU Joint Meeting 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] 南極点ゾンデ観測同化のためのAFES-LETKF同化システムの改良2017

    • 著者名/発表者名
      山崎 哲, 榎本 剛, 三好 建正, 吉田 聡, 小守 信正
    • 学会等名
      日本気象学会2017年度春季大会
  • [学会発表] 全球大気海洋結合モデルCFESを用いた実験的季節予測システムの開発2017

    • 著者名/発表者名
      小守 信正, 田口 文明, 吉田 聡, 土井 威志, 野中 正見
    • 学会等名
      日本海洋学会2017年度秋季大会
  • [学会発表] 熱帯域の大気海洋変動が中高緯度・北極域へ及ぼす遠隔影響: AFES過去再現実験とCFESペースメーカー実験2017

    • 著者名/発表者名
      田口 文明, 西井 和晃, 中村 尚, 小坂 優, 森 正人, 宮坂 貴文, 小守 信正, 吉田 聡, 野中 正見
    • 学会等名
      日本海洋学会2017年度秋季大会
  • [学会発表] AFES-LETKF同化システムへの観測インパクト評価診断ツールの実装2017

    • 著者名/発表者名
      山崎 哲, 三好 建正, 榎本 剛, 小守 信正
    • 学会等名
      日本気象学会2017年度秋季大会
  • [学会発表] AFES-LETKF data assimilation system for an experimental atmospheric global ensemble2017

    • 著者名/発表者名
      Akira Yamazaki, Takeshi Enomoto, Takemasa Miyoshi, and Nobumasa Komori
    • 学会等名
      5th International Conference on Reanalysis
    • 国際学会
  • [学会発表] 全球大気海洋結合モデルCFESを用いた実験的季節予測システムの開発2017

    • 著者名/発表者名
      小守 信正, 田口 文明, 吉田 聡, 土井 威志, 野中 正見
    • 学会等名
      京都大学防災研究所 一般研究集会「様々な結合過程がもたらす異常気象の実態とそのメカニズム」
  • [学会発表] AFES-LETKFデータ同化システムへの観測インパクト評価診断ツールの実装2017

    • 著者名/発表者名
      山崎 哲, 三好 建正, 榎本 剛, 小守 信正, 猪上 淳
    • 学会等名
      京都大学防災研究所 一般研究集会「様々な結合過程がもたらす異常気象の実態とそのメカニズム」
  • [備考] 小守 信正 < JAMSTEC

    • URL

      http://www.jamstec.go.jp/res/ress/komori/index.ja.html

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公開日: 2018-12-17  

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