研究課題/領域番号 |
17K05663
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
小守 信正 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), 臨時研究補助員 (80359223)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 海洋物理・陸水学 / 気象学 / 大気海洋相互作用 / データ同化 / 季節変動予測 / アンサンブル |
研究実績の概要 |
短期変動予測への応用に資するため、全球大気海洋結合モデル CFES へ海面水温の観測データのみを簡便な手法(ナッジ法)を用いて同化する試験的な季節予測システムについて、使用するスーパーコンピュータの更新に合わせて移植・修正作業を行った。更新に伴いいくつかの重要な機能が廃止されたこともあり、大気側・海洋側ともにかなり大掛かりな修正が必要となったため、想定よりも作業に時間を要したが、最終的には前年度までと同様の予測実験が行えるシステムを構築することができた。また、この更新したシステムを用いて、毎月1日から6ヶ月間・12メンバーでの季節予測実験を継続した。 大気大循環モデル AFES において、黒海やカスピ海など、全球を対象とした数値モデルでは三次元的に計算することが困難な内海に関して、非一様な水深分布を入力可能なように改良した実験結果について解析を進めた。内海に高温偏差が存在する場合、風上側での水平風の発散偏差・風下側での収束偏差に対応した鉛直風偏差が上空 200~300 hPa にまで達すること、その結果、前年度までに示した局所的な降水分布の改善のみならず、特に夏季において、日本を含む東アジア域上空でのジオポテンシャル高度や東西風にも気候学的に有意な差が生じることを明らかにした。データ同化システムにおいて、予報モデルの改善は同化結果の改善に直接的に資するものであり、これらの成果をまとめた論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
スーパーコンピュータの更新に伴い実施した、大気海洋結合モデルを用いた実験的季節予測システムの移植・修正作業に想定以上の時間を要したため、論文の執筆および投稿が完了しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
内海の取扱いを修正することにより周辺の降水分布や下流域の大気場が改善することを示した成果および簡便なデータ同化手法を用いて構築した試験的な季節予測システムに関する成果を論文にまとめ、国際誌に投稿する。 アンサンブル手法を用いて海洋大循環モデル・全球大気海洋結合モデルへ海洋観測データを同化するシステムを構築し、海洋の局所化スケールを変えた実験などを行い、『強結合』データ同化システムの開発に向けた基礎的な知見を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた論文の執筆および投稿が完了しなかったため、英文校閲に関する費用や論文投稿料などの支出に至らなかったことが主な理由である。 これらは次年度に実施するため、そのための費用として使用する予定である。
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