研究課題
短期変動予測への応用に資するため、全球大気海洋結合モデル CFES へ海面水温の観測データのみを簡便な手法(ナッジ法)を用いて同化する試験的な季節予測システムについて、その概要を記述した共著論文を執筆中である。また、このシステムを使用し、大気海洋結合系における海面でのアンサンブルスプレッドの挙動について解析を進め、学会発表を行った。大気海洋結合モデルに高度なアンサンブル手法を適用したデータ同化システムを構築する上で、このような基礎的な知見を積み上げることは重要であると考える。大気大循環モデル AFES において、黒海やカスピ海など、全球を対象とした数値モデルでは三次元的に計算することが困難な内海に関して、非一様な水深分布を入力可能なように改良した実験結果についてさらに解析を進めた。特に夏季において、日本を含む東アジア域上空でのジオポテンシャル高度や東西風にも気候学的に有意な差が生じ、欧州中期気象予報センターの再解析データセットと比較してバイアスが低減することを確認した。これらの成果をまとめた主著論文を執筆中である。実際の観測データを同化するのに先立ち、擬似的な観測データを同化しその影響を評価する研究は観測システムシミュレーション実験 (OSSE) と呼ばれる。AFES を基にした金星大気大循環モデル AFES-Venus に人工衛星「あかつき」の中間赤外カメラ観測を模した温度データを同化する OSSE により、水平風を含む熱潮汐波の構造がより現実的に再現されることを示し、共著論文として発表した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
Earth, Planets and Space
巻: 75 ページ: 44
10.1186/s40623-023-01806-7
Geoscience Letters
巻: 9 ページ: 44
10.1186/s40562-022-00253-8