研究課題
基盤研究(C)
氷床の時間発展を計算する氷床数値モデルでは、氷厚、温度、氷年代の時間発展を表す方程式が含まれ、それぞれ輸送方程式は移流拡散方程式として表現される。それぞれに高精度の数値スキームを実装し、従来の古典的な手法のモデルと比較することで数値表現に由来する結果の精度を明らかにした。特に RCIP 法を氷年代計算に適用することで、氷の年代に加えて副次的に年層厚の計算精度が飛躍的に向上した。この手法を用いることで、例えば氷床コア掘削地点の選定にこれまでにない精度で情報提供することが可能となった。
数値モデリング
近年、地球温暖化に対する氷床応答によって起こりうる将来の海水準上昇に、世界的な関心が集まっている。このことに関連して数値モデルを用いた氷床応答の定量的評価への要請も高い。また、気候システムのより深い理解のために過去の気候復元とその要因の研究が重要な課題である。氷床数値モデルで得られる氷床変動再現の高精度化、氷年代の高精度化はこのために有用な課題の一つである。本研究で開発改良した氷床モデルにより特に氷年代計算が飛躍的に向上し、古気候復元への重要な手法となった。