研究課題/領域番号 |
17K05671
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
片岡 龍峰 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (90462671)
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研究分担者 |
三宅 晶子 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 准教授 (00613027)
松本 倫明 法政大学, 人間環境学部, 教授 (60308004)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 銀河宇宙線 / 太陽圏 |
研究実績の概要 |
平成29年度は主に、過去数十年の銀河宇宙線変調の理解を定量的に進めることを目標とし、地上の中性子モニターやBESSによる気球観測、PAMELAやAMSなどの衛星観測で蓄積されてきた地球近傍での銀河宇宙線の年々変化を再現可能な、AMRによる太陽圏のMHDシミュレーションとSDEによる銀河宇宙線の移流拡散シミュレーションを組み合わせたハイブリッドコード開発に向けて、AMRとSDEそれぞれの基礎的な研究を進めた。AMRによる内部太陽圏モデルは、地球軌道での太陽風データが定量的に再現されることを確認し、電流シートの分解能を保ちながら太陽圏外部まで適切に計算できる状態にある。SDEによる銀河宇宙線のモデルも改良を重ね、地上の中性子モニターのデータに見られる太陽磁場極性に依存した長期的な変化が定量的に再現されることを確認した。また、近年の銀河宇宙線による航空機被ばくに関連する研究、とくに2017年9月に発生した太陽フレアイベントについても、本研究計画で開発した計算コードを一部用いて研究を進め、論文を投稿した。初年度でもあり、まだ本筋の論文成果は出ていないが、主に研究会や学会発表などを通して、それぞれのモデルに関して研究が進展している状況にある。本研究計画の採択直前には、本研究グループから、SDEのモデルを用いた研究成果の論文をプレスリリースし、新聞にも取り上げられた。また、アウトリーチ活動として、本研究計画に関して、NHKラジオ講座での紹介や、ラジオ講座テキストでの紹介を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハイブリッドコード開発に着手することが平成29年度の目標だったが、それは達成できていない。研究を進めていく過程で、AMRとSDEそれぞれで重要な課題が明らかになってきたため、それら課題の解決を優先した、という経緯がある。
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今後の研究の推進方策 |
前述の理由により、ハイブリッドコード開発に具体的に着手する目標は、引き続き平成30年度へ持ち越しとする。また、2018年1月から昭和基地で宇宙線観測が無事に開始した、という直近の状況の変化に合わせ、これは当初の研究計画にはなかったことだが、太陽活動が急降下している現在の宇宙線観測データと、本研究グループのシミュレーション結果のリアルタイムの比較という課題にも、追加で取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者(松本、法政大)の物品購入において少額(44円)のおつりが発生したため。
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備考 |
本科研費申請中(科研費採択の直前)に本研究グループで進めた共同研究成果である。
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