研究課題
・波長428nm、558nm、630nm、カラーの全天並列高感度カメラシステムをノルウェー・シーボトン天文台に設置し、2018年10~2019年3月の期間に安定して、フィンランド気象研究所、ソダンキュラ地球物理観測所が運用するEMCCD全天イメージャ等とオーロラ多点同時観測を行うことに成功した。2017年度の観測と合わせ、約20個のトモグラフィ解析可能なオーロライベントを抽出した。取得した画像データについて、恒星を利用した座標合わせ、フォーマット変換を実施し、公開作業を進めた。・2019年1月6~9日の4日間、ノルウェートロムソの欧州非干渉散乱(EISCAT)レーダーとスウェーデン宇宙物理研究所の高感度CCDイメージャ群「ALIS」、フィンランドのEMCCDイメージャ群「MIRACLE」、極地研の全天並列カメラシステムによるオーロラトモグラフィ国際共同キャンペーン観測を実施した。・2018年2月14-18日に観測されオーロラ渦イベントについて優先的にオーロラトモグラフィ解析を進めた。特に、2月16日22:45UTのWestward Traveling Surges(WTS)イベントについてトモグラフィ解析を実施し、世界初となるWTSの立体構造、及び、降下電子のエネルギー分布の再構成結果を得た。この解析の初期結果についてまとめ、学会、研究集会等で講演を行った。・全天並列高感度カメラシステム、及び、それらのデータを用いたオーロラトモグラフィ解析例について論文にまとめ、国際誌Polar Scienceに投稿した。
3: やや遅れている
・2018年度以降、ノルウェー・シーボトン天文台の全天並列カメラシステム(波長:428nm、558nm、630nm)による冬季(2018年10月~2019年3月)連続観測を安定して実施しており、トモグラフィ解析可能なオーロライベントを順調に取得している。得られた画像データは、恒星を使った座標合わせ、CDFフォーマット変換を行い、トモグラフィ解析に利用可能にすると共に、ウェブによる公開作業を随時進めている。・2019年1月6-9日にEISCATレーダー、及び、多点イメージャ群による2回目の一般化オーロラトモグラフィ国際共同キャンペーン観測を実施した。しかし、天候に恵まれず、レーダーとの同時観測データは得られなかった。一方、多点全天イメージャによるオーロラトモグラフィ長期連続観測に成功し、約20個のトモグラフィ可能なオーロラ渦イベントを抽出できた。・昨年度に整備したオーロラトモグラフィ解析ツールを2018年2月16日に観測されたWestward Traveling Surge(WTS)イベントに適用し、世界で初めてWTSの立体構造、及び、降下電子のエネルギー分布を導出し、学会、研究集会で発表した。一方で、信頼性の高い再構成結果を得るために数値シミュレーションによる検証を行う必要があったため、現時点では複数イベントの解析には至っていない。
・ノルウェー・シーボトンで取得した多波長の全天イメージャ画像のウェブ公開を進め、大学間連携プロジェクト「IUGONET」の超高層大気データベースに登録することにより、データの利活用を促進させる。・2018年2月16日22:45UTに観測されたWTSイベントのオーロラ立体構造の再構成結果について論文執筆を進め、国際誌に投稿する。・極めて良質のデータが得られた2018年2月14-18日のオーロラトモグラフィ国際共同キャンペーン観測期間中のWTS、EEAS、オメガバンド等の渦構造イベントに対し、トモグラフィ解析をさらに進める。・これまでに整備した解析ツールを駆使して、電離圏の電気伝導度、電流、電場、及び、沿磁力線電流を導出し、これまで変動の速い現象について捉えられなかった電離圏のカウリング効果を抽出する。・2018年度にオーロラ長期連続観測で多点同時取得された複数のオーロラ渦イベントについても、トモグラフィ解析を適用する。特に、WTSについて電離圏カウリング効果の大きさを統計的に明らかにする。得られた結果をまとめ、国際誌に投稿する。
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すべて 国際共同研究 (3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)