研究課題
プラズマ粒子シミュレーション(PIC シミュレーション)でより良い計算結果を得るために、数値解法の改良を行った。PICシミュレーションの根幹部ではBoris法(Boris 1970; Buneman=Boris 法)が広く使われている。昨年度、我々は、解析解を用いてBoris法の精度を改善する手法を提案した。今年度はこの着想をさらに発展させ、Boris法の特定部分の時間ステップを細かくして計算手順を繰り返すサブサイクリングを取り入れた。そして、サブサイクリング部の計算公式を導出して、全体の計算コストを低減することに成功した。こうした新手法を活かして、磁力線が繋ぎ変わる平面に対して垂直方向の磁場成分(ガイド磁場)を持つ磁気リコネクションのPICシミュレーション研究を進めた。その結果、(1)両側の物理量が揃っている「対称型」リコネクションでは、X型領域付近に電子電流層の新しい3層構造が形成されること、(2)下流ジェット内部のイオンの分布関数が、粒子の有限ラーマー半径効果のために複雑な形状になること、そして(3)両側の物理量が不揃いな「非対称型」リコネクションではプラズマ(電子)の混合が抑えられるため、分布関数の運動論エントロピーが特徴的な振る舞いを示すことがわかってきた。これらに加えて、磁気リコネクション系の大局的な性質に関する理論・シミュレーション研究を行い、プラズマの圧縮性やプラズマ分布関数の非等方性がもたらすエネルギー変換効率の高速化効果や観測的性質を明らかにした。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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