研究課題/領域番号 |
17K05674
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高嶋 礼詩 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (00374207)
|
研究分担者 |
西 弘嗣 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (20192685)
黒田 潤一郎 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (10435836)
佐藤 隆文 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (30643332)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | K/Pg / 根室層群 / 凝灰岩 / オスミウム同位体比 / 炭素同位体比 / 浮遊性有孔虫化石 |
研究実績の概要 |
本年度は,白糠地域浦幌町に分布する根室層群において野外調査を実施し,柱状図・ルートマップの作成と泥岩・凝灰岩試料(それぞれ200,10試料)の採集を行った.また,採集した泥岩のうち,100試料について微化石および植物片の抽出処理をボロン法を用いて実施した.その結果,3試料から暁新世初期(Danian前期)を特徴づける浮遊性有孔虫化石群集,1試料から白亜紀末期を特徴づける浮遊性有孔虫化石群集を見出すことができ,白亜紀/古第三紀境界(K/Pg境界)層の層準を限定することができた.また,抽出した植物片の炭素同位体比の測定を岡山大学理学部において実施し,炭素同位体比曲線を作成した.現時点では,K/Pg境界層にみられる変動と類似した炭素同位体比の大きな負のシフトが見出されたが,試料の分析個数がまだ十分ではなく,この層準付近から年代決定に有効な微化石が見出されていないため,さらなる検討が必要である.また,K/Pg層の決定に有効なオスミウム同位体比の検討を分担者の黒田が海洋研究開発機構において実施した.今回,このオスミウム同位体比については10試料を検討したが,いずれも暁新世の試料に特徴的なやや低い値(0.4~0.5)を示しており,白亜紀末期を特徴づける高い値(0.6)は出ていない.今後さらに下位の層準の試料を測定し,K/Pg境界層をより詳細に限定していく必要がある.なお,凝灰岩試料については,5試料について重鉱物の抽出を実施し,2試料からは年代測定に有効なジルコンが大量に産出した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
K/Pg境界層を含む地層の試料採集は順調に終了させることができた.まだ,K/Pg境界層の詳細な層準は決定できていないが,かなり限定することができたと考えている.今後,採集した試料の分析を継続していけば,明らかにすることが可能と考えられる.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,採集した試料に対して,微化石分析,炭素同位体比分析,オスミウム同位体比分析を継続して実施していく予定である.また,凝灰岩試料については,研究協力者のWisconsin大学のSinger教授に送付し,年代決定を行っていきたいと考えている.
|