研究課題/領域番号 |
17K05683
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
望月 伸竜 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (60422549)
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研究分担者 |
長谷川 健 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (00574196)
渋谷 秀敏 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (30170921)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 火山灰 / 古地磁気 |
研究実績の概要 |
過去の研究により、巨大噴火によって広域テフラの残留磁化方位(堆積残留磁化の方位)は、同時に噴出した火砕流堆積物の溶結部から得た残留磁化方位(熱残留磁化の方位=古地磁気方位)と一致することが報告されている。本研究では,より小規模な噴火で形成された火山近傍の火山灰層の残留磁化が古地磁気記録としてどの程度の信頼性(確度・精度)があるかを評価するために,近年噴出した火山灰層の古地磁気方位測定を行い,地磁気方位との比較を行っている。本年度は,阿蘇中岳で採取した2016年10月噴火で噴出・堆積した粘土質火砕物(火山灰),雲仙火山の1991-1992年の噴火によって畑に堆積した火山灰試料の古地磁気学的測定を行った。これまでに得たデータによれば,火山灰の残留磁化は,地球磁場方向に,ほぼ一致する場合といくらか伏角が浅くなる場合があるようである。残留磁化の偏角については,当時の値にまずまず近い値をもつ。このような違いの原因は不明であるが,火山灰は地球磁場方向に残留磁化をもつが,磁化獲得後の火山灰層の経年変化(たとえば火山灰層の圧縮)の影響を多かれ少なかれ受けるのかもしれない。このような記録媒体の経年変化は,火山岩にはない性質であり,火山灰の残留磁化の確度・精度を検討するのに重要であることが明確になった。今後は露頭における火山灰堆積物の記載や火山灰粒子の構成についても検討しながら,残留磁化データの解釈を進める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では,火山近傍の火山灰層についても,広域テフラと同様に,地球磁場方位に一致する残留磁化を保持していると推察していたが,話はそう単純ではないようである。火山灰層そのものの経年変化の可能性に注意を払いながら,試料採取・測定を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
火山灰層の堆積後の経年変化が残留磁化方位に影響を与えている可能性があるので,同一の火山灰を複数の露頭で採取して,その影響の程度を把握したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で予定していた調査は,次年度に実施する。
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