研究課題/領域番号 |
17K05686
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
石塚 治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (90356444)
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研究分担者 |
片岡 香子 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (00378548)
前野 深 東京大学, 地震研究所, 准教授 (20444078)
田村 芳彦 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋掘削科学研究開発センター, グループリーダー (40293336)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 山体崩壊 / マグマ化学組成 / ペレ火山 / 浅間山 |
研究実績の概要 |
本年度は,(1)ペレ火山噴出物採取及び海底掘削試料及びペレ火山陸上部採取試料の分析解析の実施,(2)国内の火山体崩壊を起こす火山についての調査及び採取試料分析,を行うことを計画した。 (1)については,前年度に実施した陸上調査により採取した火山噴出物試料について40Ar/39Ar法及び14C法による噴出年代の決定と化学組成、同位体組成分析を行った。これまでのデータ解析により、25000年前の山体崩壊イベントの前後のマグマの化学組成の時間変化の仕方に有意な違いがある可能性が高くなった。この違いを説明できるマグマ供給系の変化についてのモデルを検討している。、2019年2月にフランスの共同研究機関を訪問、議論を行った。 一方(2)については,浅間山火山で1回,また申請段階で含めていなかった黒姫山火山で1回の調査,試料採取を実施した.その結果,いずれの火山においても複数地点の露頭で山体崩壊イベントの前後の噴出物の採取に成功した。これら採取試料について分析作業を進めている。このうち浅間山については、山体崩壊イベントを含む3万年前から1万年前までの間,マグマの微量成分組成,同位体組成が系統的な時間変化をしたことが明らかになった。この変化は浅間山におけるマフィックマグマの端成分が時間変化していくことで説明されるのではないかと考えられる。このマグマ組成の時間変化と山体崩壊との成因的関係について検討を行っている。成果について日本火山学会で講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に当初予定していたフィールド調査については,予定通り実施できた.また当初予定に入れていなかった黒姫山について、本研究の目標達成のため適したフィールドである可能性が高いため、協力者とともに試料採取を実施した。分析作業は、年度途中において、研究所の停電事故のため、一部分析装置が損傷して長期に渡り分析不可となったため、やや遅れている。解析については、浅間山のデータについて1回目の学会発表を行うなど進展している。ペレ火山のデータ解析は、2019年2月にフランスの共同研究機関で議論を進めることができ、大きく進展した。 なお最終年度に渡島大島火山調査を実施するため、必要な研究費を繰り越した。
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今後の研究の推進方策 |
当初申請に記載した渡島大島調査については,繰り越した研究費と合わせ、最終年度前半に実行する。その上で研究期間終了までに分析、解析作業を終了できるよう全力を挙げる。 過年度に大量に取得しているデータの解析は最終年度に完了,学会講演等で順次成果発表を行うと同時に論文化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請段階で記載した渡島大島火山での調査費用が高額になる。採択された予算内でこれを実現するために、次年度予算と合わせて実行することとし、繰り越しを行った。繰り越した研究費は、次年度の渡島大島調査に全額使用予定である。
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