研究課題
本年度は,(1)渡島大島火山噴出物調査と噴出物試料の化学分析,(2)ペレ火山陸上部および前年度までに採取した浅間山採取試料の分析解析の実施,(3)成果のとりまとめ,を行うことを計画した。(1)については,1741年に噴火と山体崩壊を起こした渡島大島火山に上陸,5日間の調査を実施した.特に1741-42年の噴火活動に伴う火山噴出物を層序に従い系統的に採取した.古文書の記録と合わせて検討すると,山体崩壊の発生の前後の噴火活動による噴出物をほぼ連続的に採取できた可能性が高いと考えられる.採取した噴出物の主要および微量元素組成分析を実施した結果,極めて系統的なマグマの化学組成の時間変化が明らかになった.この変化は,結晶分化作用の程度の違いでは説明できない.起源の異なる少なくとも2種のマグマが渡島大島火山のマグマ供給系に存在,その寄与の程度が時間とともに変化した可能性がある.特に山体崩壊時に大きな組成変化を示したと考えられ,今後そのメカニズムを検討することで,山体崩壊のマグマ供給系への影響とその原因を明らかにできる可能性が高い.また2種の異なるマグマの成因についても解明を目指す.(2)のペレ火山噴出物の研究については,年度開始直後には予定していた化学組成及び年代測定が終了した.35000年前の山体崩壊イベントの前後のマグマの化学組成の時間変化とその原因について,5月にペレ火山の火山観測所で行われた国際ワークショップで講演を行った.一方浅間山火山についても分析作業がほぼ完了し,約25000年前の山体崩壊イベントを含む過去約10万年間のマグマ組成変化を解明,2020年9月の国際学会COV11で講演予定である.(3)について2月に新潟大学においてとりまとめの研究集会を実施,各火山について得られたデータを総括,今後の論文化の方針を確認した.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件)
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