研究課題
北海道の穂別地域の蝦夷層群,福島県の相馬中村層群,双葉層群,茨城県の那珂湊層群等で野外調査を行い,堆積相層序,シーケンス層序を検討し,大型化石(特に軟体動物化石,一部は脊椎動物)の採取を行い,それぞれ分析を進めた.蝦夷層群では穗別地域の函淵層のシーケンス層序の再検討から,白亜紀-古第三系(K-Pg境界)の位置を推定し,暁新統の浅海成砂岩相が厚く発達することが予想された.蝦夷堆積盆は縮小分化しながらも,地域的には厚い前弧堆積物が形成されており,陸上にも保存されていることが判明した.双葉層群では,海生化石密集層のシーケンス層序学的位置付けや形成過程を再検討する中で,コニアシアン最初期の海進ラグ堆積物中の化石層の実態や,その基底の海進性礫岩がHCS砂岩に側方変化する,堆積学的に重要な特徴を見出すことができた.相馬中村層群では,これまでジュラ紀後期の亜熱帯性ラグーン成石灰岩(小池石灰岩)の位置付けが解明できていなかったが,本研究で波浪卓越型浅海成の珪質砕屑岩(砂岩)から漸移することが判明し,白亜紀前期後半から形成された蝦夷堆積盆以前にも,ジュラ紀後期に前弧堆積盆が発達していた可能性が指摘される.この数年,日本を含めた東アジア各地で,白亜紀の各種地質帯のU-Pb放射年代が発表されている.日本各地の白亜系の年代層序情報のとりまとめから構築した古日本弧―海溝系復元の成果(安藤・高橋,2017)に,それらの日本周辺の同時代層の成果を繰り入れて,日本を含む東アジアの白亜紀の古地理や地史の全体像復元に向けた作業を進めている.一方,昨年度にIsland Arc誌に出版された,モンゴルの白亜系湖成層の年代層序に関する論文は,2019年度の日本地質学会論文賞を受けたので,さらに,著名国際誌への投稿をして査読を受けている.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 4件、 査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Paleontological Research
巻: 24 ページ: -
Open Journal of Geology
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10.4236/ojg.2019.910038
茨城県自然博物館研究報告
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http://paleogeo-ando.sci.ibaraki.ac.jp/