半世紀ものあいだ琵琶湖ボーリングコアを用いた研究が続けられているが、湖内に生息・生育する生物にとって重要な琵琶湖そのものの湖沼学的なパラメータ(例えば、水深、水温、栄養塩濃度など)の変化は十分に明らかにされたとは言いがたい。本研究では過去の水深変化を地球化学的手法で推定することを試みたが、珪藻の大型化とのあいだに単純な関係性は認められなかった。珪藻などのプランクトンにとっては、水深よりむしろ温度躍層の存続期間やその水深が重要な意味を持つことも指摘され、このような湖沼学的なパラメータを過去にさかのぼって明らかにする手法の開発の重要性が再認識された。
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