研究課題
本研究は,地下深部からの流体の起源,深部での流体の混合,レアメタル等の金属元素の起源・運搬プロセスを解明するための手法開発の研究である.具体的には,ArFエキシマレーザーを使用して鉱物に細孔を掘削し流体包有物の流体を取り出し,流体の主成分である水の酸素同位体比を測定する手法開発の研究である.H29年度の本実験装置の反応容器の体積の縮小化に引き続き,H30年度には,前年度に課題となった反応容器等からの吸着水の抑制方法について検討を試みた.検討に先立ち,H29年度の研究の後半で破損したエキシマレーザー装置の発生部の原因特定と修理を行った.その後,Chamberを大気に開放し,十分に排気後,F2を約0.2気圧入れた後,数回F2を入れ替えた後,非凝縮性ガスとCO2(Chamberの中ではH2O)の量を検討した.その結果,非凝縮性ガスは0.014μmol, CO2は,0.12μmolの量であった.これらのことから,Chamberの窓ガラスとF2間の反応が無いことが確認された.また,F2を約0.2気圧入れて,長時間放置すると脱ガスが続き,脱ガス量は,平均して3時間で上記の量になることが確認された.F2を反応容器に満たすことで,H2Oの容器からのcontaminationを0.1μmol程度まで下げることが可能であることが明らかになった.今後の課題として,流体包有物から液体を抽出するために試料をlaserで照射したときに,新たに鉱物から脱水するH2Oの影響を検討することが必要であると考えられる.
3: やや遅れている
H30年度の研究の中で実験装置の修理(部品の海外発注)のためとF2雰囲気下で反応を行わせる反応容器からの脱水問題の解決に時間がかかり,実験の進捗に遅れが生じた.
容器からの吸着水の影響が大きいため,容器の予備加熱を行い,常温F2雰囲気下での場合との比較を行い,吸着水等の影響を低減する.また,本測定法の検出限界を見積もるために,ガラス容器に封入した酸素同位体組成既知の少量の水(H2Oとして千~数十μモル)を用意し,それらの水について本手法を適用し分析を行い分析値の検討を行う.その後,水熱合成装置で作成した大型流体包有物や天然鉱物試料中の大型流体包有物について分析を行う.
H29年度から研究を開始した.研究を進める中で,容器からの吸着水等の水の量のバックグランドの見積りを行い,これらの水の除去が分析法の確立に不可欠であることが明らかになった.この解決を図るために実験を進めた.容器からの吸着水等の水の量のバックグランドの見積りや水の除去の確立を目指した試みに時間がかかり,当該助成金が生じた.H31年度には,水の除去のためのヒーターやそれらを制御するコントローラーが必要になる.H30年度の当該助成金はこれらの装置や部品を購入する費用に使う予定である.H31年度に予定している消耗品は,予定どおり使用する.H31年度の国内旅費,人件費・謝金も予定どおり使用することを考えている.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)
NMCC2017年度共同利用研究成果報文集
巻: 24 ページ: 93-97
Environmental Science and Pollution Research
巻: 25 ページ: 25005~25019
10.1007/s11356-018-2541-x
Environ. Sci. Pollution Res.
巻: 24 ページ: 5-25
10.1007/s10498-018-9328-z
Journal of Hazardous Materials
巻: 352 ページ: 192-203
10.5188/ijsmer.20.225