研究課題/領域番号 |
17K05709
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
川嵜 智佑 愛媛大学, 理学部, 研究員 (50136363)
|
研究分担者 |
永嶌 真理子 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80580274)
齊藤 哲 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 講師 (00528052)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ケイ線石 / FeAlO3相 / 赤鉄鉱 / 磁鉄鉱 / コルンダム / ウルボスピネル / ルチル / ヘルシナイト |
研究実績の概要 |
超高温変成作用の温度圧力条件での相平衡再現実験からケイ線石へのFe固溶量を調べている過程で,平成29年度に,9キロバール,1050 ℃でケイ線石+Fe2O3およびケイ線石+Fe3O4からFeAlO3相が晶出していることを見出したので,平成30年度は,反応性を促進させる目的で1ミクロン以下に粉砕した出発物質を用いた実験を試みた.しかしながら,得られた実験生成物は結晶成長が悪く,粒径1ミクロン程度までにしか成長していなかった.それ故,極細微粒出発物質を用いた再現実験を実施することは断念した.これまで実施してきたケイ線石とFe酸化物を用いた再現実験で得られた生成物を詳細に再検討した.その結果,含水条件のもとで,部分溶融した生成物には,Fe酸化物が消滅してFeAlO3相が結晶化していたことが判明した.部分溶融を経ていない生成物には,FeAlO3相は結晶化しておらず,Fe酸化物+ケイ線石+コランダムが再結晶化していた.Fe2O3と共存するケイ線石中のFe固溶量がFe3O4と共存する場合よりも大きいことが明らかになった.このことに加えて,FeAlO3相と共存するケイ線石中のFe固溶量も調べることにした.そのためにFeAlO3相を大気中で合成することを試みた.これらの研究成果は,日本鉱物科学会2018年総会,The Ninth Symposium on Polar Science,第95回西日本東南極研究セミナー,第18回日本地質学会四国支部総会,変成岩などシンポジウム2019で公表した.また,FeAlO3相が結晶化した高温高圧再現実験について,現在投稿準備中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応性を促進させる目的で極細微粒出発物質を用いた再現実験を試みたが,これは断念した.これまでのケイ線石へのFe固溶量を調べる実験的研究の過程で,FeAlO3相を超高温変成作用の温度圧力条件で見出したので,Fe2O3,Fe3O4,FeAlO3相と共存するケイ線石へのFe固溶量を精密に決定するためにFeAlO3相の合成を試みるとともに,FeAlO3相が存在可能な温度圧力範囲を特定するために,含水条件のもとでケイ線石とFe酸化物を用いた高温高圧再現実験を開始した.
|
今後の研究の推進方策 |
Fe2O3,Fe3O4,FeAlO3相と共存するケイ線石へのFe固溶量を精密に決定するとともに,FeAlO3相の存在可能温度圧力範囲を特定する高温高圧再現実験を行う.平成30年度の研究でFeAlO3相が,FeおよびAlに富み,一部溶融した形跡のある岩石に存在しうることが判明しているので,天然界で未発見物質であるFeAlO3を,超高温変成作用を被った変鉄岩から見出す事を今後の研究推進方策の一つに加える.
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品等の効率的な執行に努めた結果,残額が生じたが,次年度も引き続き,物品費などに 使用する.
|