本研究の目的は、海洋地殻玄武岩中の高圧下での主要鉱物と共存する可能性がある新しい含水相・鉄チタン水酸化物の相関系、熱力学的安定領域を明らかにすることであった。実際の地球を構成する天然の玄武岩にMg(OH)2を混合することで含水玄武岩系の出発物質を作成し、鉄チタン水酸化物の安定性を広い温度圧力範囲で実験的に調べた。その結果、温度1100℃以下において広い圧力範囲(9~17 GPa)でこの含水相が安定であることが分かった。また、先行研究において含水玄武岩系で含水相が欠落していると思われていた圧力領域(10~14 GPa)全域を、この相の安定領域が網羅していることが示された。
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