研究実績の概要 |
沈み込むプレートの構造や変動過程は、これまで調査船による海底音響測深を用いた海底地形観測(e.g. Fujiwara et al., 2011)や、地震波による海底下の構造探査(e.g. Kodaira et al., 2014)により議論されてきた。現在もその重要性は明白で、年度末3月26日と27日に行われた東京大学地震研究所共同利用研究集会「海溝海側で生じる過程総合研究:沈み込み帯インプットの実態解明に向けて」では、ここ数年集中的に行われている観測結果と本研究の成果を照らし合わせ議論を行った。本申請課題は、プレートを構成する物質そのものを用いている唯一の研究例であり、その重要性を認識した。
捕獲岩・捕獲結晶の分析では、結晶外縁から内部までの濃度変化から、マグマ上昇時に取り込まれた沈み込むプレート中のマントル岩石に交代作用の痕跡がある事が判明した。更に、溶岩組成はプレートの変化する応力場ごとに変化していることも新たに判明した。本成果は、査読付き国際学術誌に公表された(Sato, Hirano et al., 2017, Int'l. Geol. Rev.)。また、更に詳細な岩石組成の変化について、成果公表を進めている。
研究成果としては、既述のSato, Hirano et al. (2017) Int'l. Geol. Rev.以外に、Rochat et al. (2017) Geology 45 (12), 1091-1094.、Baba et al. (2017) Earth, Planet. Space 69, 111.、平野 (2017) 地学雑誌, 126 (2), 195-206.、Machida, Kogiso, Hirano (2017) Nature Comm. 8, 14302.の計4つの査読付き学術誌論文と、国際学会国内学会で複数回の発表を行った。
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