日本海側から瀬戸内海側まで鳥取県から岡山県の南北ほぼ直線上の5地点で四年間に渡り月毎の降水を採取した。主要化学組成,硫酸イオンの硫黄・酸素同位体比を測定した。非海塩性硫酸の硫黄同位体比は冬期に高く夏期に低くなる日本の他地域で観測されているのと同様の季節変動を示した。本研究で初めて測定された酸素同位体比は春期に高く秋期に低くなる硫黄同位体比とは異なる季節変動を示した。硫黄同位体比と酸素同位体比の季節変動を合わせて考察したところ,これまで考慮されていなかった主に春期に日本列島に飛来する黄砂を降水硫酸の起源物質の一つとして考えなくてはいけないことが明らかになった。
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