研究課題/領域番号 |
17K05717
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
赤木 右 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80184076)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 炭酸カルシウム / 微量元素 / 吸着 / 溶解 / 分配定数 |
研究実績の概要 |
炭酸塩分配反応装置の製作 分配反応をより平衡に近い条件で進行させる反応装置をガラスを用いて製作した。その際、形状の異なる三種類のガラス製反応容器を試作した。溶液の飽和状態の確認のためにpHを測定できるようにした。粒径の異なるカルサイト粉末は、天然のカルサイト粒子(0.1 mm)をメノウ乳鉢で粉砕し水簸によって自作し、電顕でサイズ分布を確認した。ガスフローコントローラを3つ用いて二酸化炭素分圧の調整された窒素を作った。撹拌するためのバブリングでは、窒素だけでなく空気を用いて、酸素分圧の変化の影響も考察できるようにした。 カルサイトの平衡分配反応実験と溶解実験 pHをモニターしながらMnと希土類元素の塩化物溶液を用いてカルサイトへの分配実験を行った。反応時間は1週間から3週間を検討した。その後、水簸により分級後、組成変化をICP質量分析計とICP発光法により測定した。 Mnを用いた生成実験では漸近線により安定した分配係数が得られた。さらに酸素を含む系と含まない系で溶解実験も行い、カルサイト粒子中のMnの量の変化を観察した。希土類元素を用いた生成反応においても、再現性の良い分配実験が可能であった。分配の希土類元素パターンはMucciらの報告したものと良く一致していたが、値は一桁低かった。また、粒子サイズの効果が明確でなく、分配定数にサイズ依存性が弱かった。水簸による分級後回収したカルサイト粒子の量が理論的な傾向と一致せず、その原因を探っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
炭酸カルシウム粒子の水簸による分級が、理論的に予想される分布とは異なっており、分級中のカルサイト粒子の生成や水簸装置内の対流等の可能性が疑われた。その原因を解明するために追加実験が必要になり時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
水簸処理中の粒子の生成や流動を抑えるため、水簸時間の短縮を図る。多少粒径サイズの分級は粗くなっても、分析値の漸近値が得られる見通しである。 その後、漸近線が得られたならば、その他の問題はすでにクリアされているので、計画通り、希土類元素を吸着したカルサイトの溶解実験を行う。さらに粒子をアラゴナイトに変えた吸着実験と溶解実験へと進む計画である。
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