平成31年度(令和元年度)は、水月湖コア試料に含まれるテフラ(火山砕屑物)と対比されると予測されるテフラ試料に含まれる火山ガラスの主要・微量元素同時分析を行った。また本測定手法のさらなる改良の試みの一環として、世界的にも火山ガラスの標準的・代表的試料となり得るであろう火山ガラス試料数種に関しての測定も平行して行った。 また、水月湖コア試料中に含まれる可視テフラの中でも特に重要な、三瓶山および大山周辺の過去の露頭調査結果を整理、検討した。また三瓶浮布テフラ(水月湖コアには含まれない)と阪手テフラ(水月湖コア試料に見いだされる)に関して、重点的にそれらの岩石学的特性とガラス化学組成に関して検討し、論文化を行った。 平成31年度(令和元年度)に本研究に関連して発表された論文は、濃尾平野コア試料に含まれる火山ガラス混合物を階層型クラスター分析法を用いて個々の成分に分離する試みに関する論文(「第四紀研究」)、水月湖コア試料に含まれる可視テフラ試料の岩石学的特性の記載に関する論文(「地学雑誌」)、そして水月湖コア可視テフラ試料中の火山ガラス化学組成とクラスター分析による関係性の定量・可視化に関する論文("Journal of Quaternary Science")の3本である。当該年度後半は、これらの論文の査読結果に基づく修正、受理後のproof確認など各種作業に、より注力する事となった。 これらに加えて、前述の通り、水月湖コア試料に含まれる阪手テフラと三瓶浮布テフラの関係性とその分布域などに関する論文を執筆、「地学雑誌」に投稿した。本論文は令和2年1月14日に正式受理され、令和2年5月現在入稿用原稿の確認の段階まで進んでいる。
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