研究課題
本研究課題に先行する、基盤研究(B)「圧力制御システムを用いたコンドリュールの凝縮反応に関する実験的研究」(平成23年度~平成26年度:今栄直也:代表)では原始太陽系環境を再現する減圧制御炉を導入し、コンドリュールの再現実験に成功した。この実験生成物のMg, Si, Feの同位体測定を実施することが本研究課題の主目的である。平成25年度に国立極地研究所に新たに導入した2次イオン質量分析計(SHRIMP II)の運用状況に依り、研究期間内においては、標準試料(NBS=28)、Hamersley BIF、Dharwar BIF、Dharwar quartzite、およびNapier quartziteを用い、質量数30のSiの測定を実施することにより、0.1パーミルでの高精度測定が可能になった。このようにSi同位体測定の分析技術の確立に至った。再現物質および地球外物質試料の同位体測定に向けては今後の課題となった。また、当該研究の新たな考察により、コンドリュールの研究が進んだ。平成25年度に導入したX線回折装置により、コンドリュールとマトリックスの系統的な差異がCO3コンドリュールから明らかになった。分析を行った試料のうち最も始原的な隕石はALH-77307 CO3.03であり、マトリックスにはアモルファス珪酸塩を多く含む。マトリックスは星間塵の生き残りか原始太陽系星雲内でのガスからの凝縮物であるかを明らかにすることはコンドリュールの起源を明らかにする上でも重要な鍵である。再現実験結果は、後者を意味しており、始原的なコンドリュールはマトリックス形成と同時に凝縮・蒸発を含む相互作用を経て形成したことを示唆する。今後さらに、同位体分析およびさらに多様な解析方法を駆使してコンドリュールの起源についての解明を続けていく。
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Meteoritics & Planetary Science
巻: 55 ページ: in press
Review of Scientific Instruments
巻: 91 ページ: 035107
10.1063/1.5122672