研究課題
本研究は,固体プラズマ材料と導波管空洞共振器で構成されたサブミリ波帯特性可変フィルタを実現することを目的としている.昨年度までは,理論解析による固体プラズマ材料のパラメータについて詳細に検討し,また,二次元FDTD(Finite-Difference Time-Domain)解析を利用して共振器の構造や寸法とプラズマのパラメータについて詳細に検討した.その結果,空洞共振器の寸法やプラズマパラメータの最適化を行ったところ,静磁界を0~1 T印加することで,共振器が特性可変の帯域通過フィルタとして動作し,その中心周波数が570 GHzから490 GHzまで変化し得ることがわかった.また,中心周波数の大きな変化量と大きな透過電力の両立は困難であることがわかった.本年度は,共振器の特性向上を目指し,複数の共振器を縦列に接続した場合について解析を行い,また実験を想定し,ミリ波帯での三次元FDTD解析を実施した.その結果,共振器を縦列接続とした場合,共振器特性の鋭さや,印加磁界特性に大きな影響を与えることが分かり,またミリ波帯でも特性可変の帯域通過フィルタとして動作するパラメータを見出した.なお,共振器の結合方法は,誘導性窓よりも,容量性窓の方が良好な特性が得られることが分かった.一方で,リアクタンスフィルタに固体プラズマを挿入し共振器を構成する構造についてミリ波帯で検討を行った.リアクタンスフィルタは高域通過フィルタとして動作するが,固体プラズマを挿入し,伝搬方向に対し横方向に静磁界を印加することで,遮断周波数を低下させることが可能なことが示された.このように,固体プラズマを導波管素子と組み合わせることで,空洞共振器型フィルタでは帯域通過フィルタの特性が可変となり,リアクタンスフィルタでは高域通過フィルタの遮断数周波数を可変とできるなど,様々な特性の素子への展開も可能なことが分かった.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) 備考 (2件)
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