研究課題/領域番号 |
17K05725
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
立松 芳典 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 准教授 (50261756)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マルチ周波数ジャイロトロン / 広周波数帯発振 / 2次高調波発振 / サブテラヘルツ / ガウスビーム出力 |
研究実績の概要 |
広周波数帯域でガウスビーム出力するジャイロトロンとして、2次高調波で多モード発振するジャイロトロンを開発し、これを実証することが目的である。平成28年度にこのためのジャイロトロンの発振モードの選定を行った。福井大学での過去のジャイロトロン実験において、発振した経験のあるモードの中から、1つのモード変換器で、ガウスビームに変換が可能なモード群を選んだ。その結果、TE85、TE56、TE75、TE65、TE55、TE45、TE64、TE54、TE44の9つのモードを選定した。平成29年度は、既存の8T超伝導マグネットを用いるとし、これに合わせて最高周波数を2次高調波発振で~420 GHzと設定することで、共振器形状を決定し製作した。また、これらのすべてのモードに対して、共振器に入射する電子ビームの速度分布拡がりができるだけ小さくなるような電子銃を設計した。 次に、製作した共振器を既存の直線型ジャイロトロン管に挿入し、発振実験を行った。共振器中心での磁場強度、電子銃電極に印加する電圧を変化させ、選定した9つのモードが実際に2次高調波発振する条件を探索した。その結果、上の9つのモードの内、TE54、TE44を除く7つのモードについて発振を確認でき、これらのモードが発振する磁場強度、印加電圧の運転領域を見つけた。TE54、TE44については、近い条件で発振する基本波モードとの競合に負けて発振できなかった。以上の結果を国際学会、国内学会で報告した。 発振を確認できた発振モードすべてに対してジャイロトロン内でガウスビームに変換できるモード変換器の形状を検討し決定した他、ジャイロトロン全体の設計を行った。ビーム方向を変えるための内蔵ミラーを動かす機構を除いてジャイロトロンの設計を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初調書に挙げた平成29年度の計画はすべて達成し、一部平成30年度で計画した項目も実施しているため。
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今後の研究の推進方策 |
設計が唯一未完のビーム方向を変えるための内蔵ミラーを動かす機構を設計することで、ジャイロトロン全体の設計は完了する。真空容器、共振器、モード変換器を製作し、真空容器に、共振器、モード変換器を組み込んで、ジャイロトロンを完成させる。真空試験およびベーキングを行った後、発振試験を行い、選定モード群での発振およびその周波数の確認、それぞれがガウスビームとして出力されているかの確認を行い、当初計画した多周波数発振ガウスビーム出力が実現できていることを確認する。 2次高調波以外にも基本波モードの発振は起きると予想される。基本波モードについては、磁場強度を変化させると、ジャイロ後進波管発振機構により、周波数が連続的に変化するモードが見つかる可能性があるため、これらのモードを探索することで、より広周波数帯での発振を実現する。
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