研究課題
平成29年度に複数の2次高調波モードで発振する共振器およびこれらをガウスビームに変換できるモード変換器の設計を行った。平成30年度は、設計で残っていた窓からのビーム出射方向を変えるための内蔵ミラーを動かす機構を設計し、ジャイロトロンの設計を完了した。この共振器およびモード変換器を組み込んだジャイロトロン管を製作し、管の発振実験を行った。平成29年度に直線管で予備実験をして得られた7つの2次高調波モードでの発振を製作したモード変換器内蔵ジャイロトロン管でも周波数測定により確認できた。これらの7つのモードのうち、TE85,およびTE65の2つのモードでは単一モード発振が得られた。放射ビームパターン計測により、7つの2次高調波のうち6つに対して、中心に強度ピークをもつビームパターンが得られた。残りの1つは、パワーが弱いためはっきりとしたビーム画像が得られなかった。単一モード発振していないモードに対しては、放射パターン計測で、放射位置の異なる複数のビームが観測された。この放射位置(方向)の違いはモード変換器の性質として説明できる。直線管では、基本波モードと2次高調波モードが同時発振する場合、その分離は容易ではなかったが、モード変換器内蔵管では、放射ビーム方向の違いにより、2次高調波ビームを基本波ビームから分離できることを実証した。また、ジャイロトロン窓を二重とし、窓間距離を調節することで、周波数(モード)による窓透過率の違いを利用して、基本波との同時発振の場合も、2次高調波ビームのみを窓を透過させることにより、ほとんど2次高調波ビームの単一モード発振に近い出力を得ることができた。
1: 当初の計画以上に進展している
当初計画では、モード変換器を組み込んだジャイロトロンによる実証実験は、平成31年度を予定していたが、平成30年度中に初期実験を行うことができた。
ジャイロトロン管の設置位置の微調整およびそれぞれの2次高調波モードに対して発振条件の最適化を行うことで、それぞれのモードの発振パワーを最大化する。また、2次高調波だけでなく、基本波発振についても探索し、より広範囲の周波数帯で本ジャイロトロンが発振できることを実証する。
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