研究課題
平成30年度に2次高調波マルチ周波数ガウスビーム発振ジャイロトロン管を製作し、予備実験を行った。その結果9つの設計発振モードのうち7つの発振を確認した。令和元年度は、発振効率に大きく影響するジャイロトロンの位置調整を行った。ジャイロトロンの発振効率は、共振器に入射する電子が電磁波に結合する度合いで決まり、結合に最適な電子の入射半径が存在する。理想的には円環状の電子ビームは共振器軸に対して軸対称に入射すると考えられるが、実際には共振器軸(ジャイロトロン軸)と磁気軸を一致させるようにジャイロトロンを設置することは非常にむずかしい。このため、ジャイロトロン位置をマグネットに対して微調できるXYステージによりジャイロトロンを水平面内で動かしながら発振信号強度を測定することで最適位置を調べた。その結果、あるジャイロトロン位置で発振信号は最大となり、その点を中心として信号強度分布は同心円となった。ジャイロトロン軸と磁気軸にずれがあるときの電子と電磁波の結合の大きさを、理論モデルを用いて計算した結果、実験結果をうまく再現する計算結果を得た。このことから、信号強度が最大の点がジャイロトロン軸と磁気軸が一致しているときであることを実証した。2軸が一致する状態で、発振出力の測定を行った結果、前年度実験結果より出力が4倍以上増大した。また、前年度に発振を見つけられなかった2つの設計2次高調波モードのうち1つを新たに発見できた。さらに設計モード以外にも1つの2次高調波モードを観測できた。この2つのモードはともに単独発振であり、合計4つの単独発振する2次高調波モードを得られた。これらの成果を学術雑誌に投稿しその掲載が決まった。2次高調波に加えて基本波発振の測定を行った。2次高調波発振を目的として開発した管であるが、10の基本波モードを観測し、そのうち5つのモードに対して周波数連続可変を観測した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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